完璧な申し送りは、存在しない
「……以上です。あとは、よろしくお願いします」。 当直明けの朝、日勤帯の医師に患者情報を申し送った。頭の中にある一晩分の情報を、限られた時間で言葉に変換し、手渡していく。 医局を出て、エレベーターに乗り込んだあたりで、ふと不安になる。あの一言で、ちゃんと伝わっただろうか。あのニュアンス、こぼれ落ちていないだろうか……。 先日、尊敬する先生と「申し送り」の工程そのものについて語り合う機会があった。互いにキャリアも専門領域も大きく異なるが、話せば話すほど行き着く結論は同じものとなった。 申し送りは難しい。何年やっても、難しい。 「申し送り」というと、単なる引き継ぎの技術と捉えられが
日経メディカル
2026年08月18日 15:00