専門用語を、脱ぐ
「ここ、もう少しやさしい言葉になりませんか?」 真っ赤に校正された原稿を眺めながら、私は腕を組んで固まってしまった。 やさしい言葉……か。そう言われても、これ以上どのようにかみ砕けばよいのだろう。私は「バイタルサイン」や「予後」を、何と言い換えればいいのか。 先日、一般の方に向けた書籍に、救急医の立場で関わる機会をいただいた。医療者ではなく、医学用語を知らない一般の読者に向けて、救急医療の世界を語る。その作業を通じて、改めて痛感したことがある。 医学用語は、恐ろしいほど意図やニュアンスを省略したハイコンテクストな言葉であるという事実だ。医療者同士の会話は、省略に次ぐ省略でできている
日経メディカル
2026年09月01日 15:00